すみよしの手帖

生活となりわいと趣味の手帖を紐ときます。

和建築を考える; “サツキとメイの家”にトリップできるサイトまとめ

 

今日は『となりのトトロ』に出てくる草壁家のお家を巡ってみたいと思います。

2005年に開催された愛知万博のためにつくられたパビリオンの1つで、草壁家のリアル再現“サツキとメイの家”が建てられたのは記憶に新しい(?)ですよね。

設定は昭和33年(1958年)だそうなので、ちょっと懐かしい和建築です。

そちらを紹介しているサイトをメインにまとめてみました。

和建築についてもっと知りたい!という気持ちが湧いてきます。

 

SPONSORED LINK

 

 

 

“サツキとメイの家”にトリップできるサイトまとめ

1番詳細なまとめ:「職人がつくる木の家ネット」 さん

[現場レポート特別編] サツキとメイとあなたの家 「それは本物の家でした。」

サツキとメイの家の細かな解説だけでなく、昔ながらの工法や、和建築の「内」と「外」とのつながり方、効率化された現代の住宅と対比した昔ながらの職人さんの手仕事の良さなどについても書かれています。

 

このサイトを読んで思ったことは、長くなってしまったので、後半にまとめています。

 

 

お父さんに注目:「No Throw photo & creative」 さん

妄想ディテール・クリエイティブ。

 

サツキとメイの家に行かれた感想が写真つきでまとめられています。どうやら草壁家のお父さんファンでいらっしゃるらしい。

 

『サツキとメイの家』という施設名の中にも”お父さん”を入れて欲しいくらいですね。『サツキとメイとお父さんの家』って。でもタツオという名前があるから『サツキとメイとタツオの家』のがいいかな?タツオって誰やねんって感じになるかな?

 

まさに。

 

わりばしで再現:「割り箸細工のみやちゃん」 さん

さつきとメイの家内部間取り作り。

 

わりばしアートがすごい!畳の向きやお風呂・台所までしっかり再現…

 

間取りイラスト:「Iñaki Aliste Lizarralde」 さん

f:id:hatehatettt:20160330230818j:plain

Iñaki Aliste Lizarralde

 

Aliste Lizarraldeさんという物語の間取り再現で有名な方のtumblr.ページ。ネットにはこの方が作ったと思われる間取り図がたくさんありました。

トトロだけでなくてフレンズやSATCや他いろいろな間取りを再現されてます。

 

物語に登場する間取り:「NAVERまとめ」 さん

興味のあるかたは他にもいろいろこちらで見れます。NAVERまとめさんの間取りまとめ。

『クレヨンしんちゃん』野原邸、『ちびまる子ちゃん』さくら邸、『ドラえもん』野比邸、などなど。

 

SPONSORED LINK

 

 

「職人がつくる木の家ネット」さんの記事を読んで思ったこと。 

こちらのサイトは実際に“サツキとメイの家”を建てられた職人さん方が登録されているネットワークのページなのですが、家の内部の写真はもちろん、細かな職人さんのこだわりや和建築の日本文化とのつながりに関するお話も出てきて、大変面白いです。

(この項目の画像および引用部分は「職人がつくる木の家ネット」さんのページからお借りしました。)

 

「サツキとメイが暮らしていた時代の大工技術で作ってほしい」という大きな課題をスタジオジブリが依頼したのが、木の家ネットにも加盟している中京地区の若い大工たちでした。

 

工法にまで時代設定に従ったそんなこだわりがあったんですね。

中京地区の若い大工、いよーーーっ!!

 

書斎脇の階段を登り、マックロクロスケが逃げ込んだ二階に向かいます。果たしてマックロクロスケは今でもいるでしょうか? 愛・地球博では、二階には行けないので、幸運にも入場券を手にいれても、この先は見ることができません。

 

「職人がつくる木の家ネット」さんのページでは、非公開ゾーンのマックロクロスケの2階の写真も見れます。

f:id:hatehatettt:20160330230929j:plain

非公開ゾーンだけどしっかりと指の入る壁穴は再現されている!

f:id:hatehatettt:20160330230948j:plain

 

こちらが間取りです。

f:id:hatehatettt:20160330231014g:plain

 

草壁家が玄関を使っているシーンってあんまり浮かんでこないですよね? 

むしろ縁側から出入りしている方が多いイメージ。

このお家では縁側や洋館の外とつながっているポーチの箇所がとても重要な役割を作中で果たしています。

 

f:id:hatehatettt:20160330232258j:plain

映画「となりのトトロ」では、現代の家では起きないようなシチュエーションが生まれ、それが映画の魅力ともなっています。たとえば、夜、蚊帳(かや)を吊って寝ているサツキとメイが、庭で踊っているトトロに気がつくシーンがあります。あれは、部屋が蒸し暑くならないように、雨戸をひとつ開けて寝ていたから起きたことでした。他にも、お母さんの仮退院が延期になることを知り、サツキとメイががっかりして畳の上で寝ているときに、洗濯物を取り込んでくれたカンタのおばあちゃんが縁側から声をかけてくれるシーンもありました。

 

そんなシーンが成り立つのは、「サツキとメイの家」が外に向かって開いているからです。月明かりが蚊帳ごしに射し込み、トトロたちが跳ね回るかすかな音を聞いてサツキが目をさまします。そしてメイを起こしていっしょに蚊帳から抜け出し、縁側からはだしで外に出て行くのでした。内と外との境がとってもゆるいのですね。

 

家と外の境界があいまい、これは昔の和建築の特徴かもしれません。

縁側で猫をなでるなんて理想の生活ですよね~実際は蚊がいるからできる季節が限られるだろうけど…。

今の日本は結構物騒だから、庭が広くて塀で囲ってあるとかじゃないと、なかなか鍵をかけずに寝るのは難しそうですよね。

 

外とのやわらかなつながりは、木と木を組んで家の骨組みをつくりその上に屋根を載せる「木造軸組」、そして、柱と柱の間が壁で埋め尽くされるのでなく、障子や襖、雨戸などで開けたり閉めたりできる「真壁づくり」という日本の住まいの構造から生まれていました。

f:id:hatehatettt:20160330234850g:plain

あなたの住んでいる家では、柱が見えていますか? 「障子や雨戸をあけると柱だけになる」ような家でしょうか? 今の建て売り住宅やマンションなどでは、柱や梁が見えていることはあまりなく、パネルや壁紙で覆われています。このようなつくり方を「大壁(おおかべ)づくり」といいます。縁側もなく、玄関でブザーを押してドアをあけてもらうことではじめて中に入れてもらえます。空調で室内の暑さ寒さをコントロールするため、外との境がはっきりしている家が主流です。「サツキとメイの家」とは大分雰囲気がちがいますよね。 

 

あらためて昔ながらの和建築のよさを感じます。「木造軸組、真壁づくり」の家、いいなぁ。

 

日本の冬は寒いので障子や襖、雨戸などで何重かに開け閉めできるようになっているし、日のあたらない面には土壁をつけることもあります。暑いところ、寒いところ、雪の多いところ、少ないところなど、地方によって屋根の形、寒さや台風のしのぎかたなどにさまざまな工夫がみられますが、電話やFAXなどがない時代から、日本中がほぼ同じ「木造軸組の真壁づくり」だったというのはおもしろいことですよね。

 

そして家のつくりが、自然とのつながりかた、自然に対する構え方をも育んだのです。「ゆるやかに自然とつながる」というのが、このような家をつくり、住まい続けて来た日本人の精神風土の特徴です。たとえ家のつくり方がガラッと変わってしまったからといって、人々の心や感じかたが一朝一夕に変わるのものではないでしょう。だからこそ、今でも「となりのトトロ」のような物語が「なぜかとてもなつかしいもの」として広く深く愛されているのではないでしょうか。

 

そうなんです。その国の文化や、他人・外の世界とのつながり方、それらに関する捉え方が、土地とちの暮らしや家の形・間取りに現れるんですよね。それってとても興味深いと思うんです。

 

f:id:hatehatettt:20160330232401j:plain 

「サツキとメイの家」以前の家づくりには「量産」も「カタログ」もほとんどありませんでした。家づくりを頼まれた大工棟梁が、その家族のために、家を建てる。今ではそれをわざわざ「注文住宅」と呼ぶようになってしまいましたが。しかも、今の家づくりよりもはるかに多くの職種の職人さんが、家づくりに関わっていました。大工棟梁、左官職、板金屋、瓦焼き職人、瓦葺き職人、タイル屋、畳職人、建具職人、経師屋さん・・既製品でないのですから、それぞれの職人がその家のためにどうしたらよいかを考え、工夫してつくっていたのです。

 

てづくりとか職人芸とか、注文に応じてつくるって効率化の逆をいってるんですけど、そういうもので付加価値をつけていくのがうれしいし、そういうものの価値をきちんと見極められるような人になりたいと思います。ただ高いんじゃないっていう認識。

 

職人同士、お互いに「さすがあいつの仕事だな」と思われるような仕事を残そうと力を発揮する、というのが手仕事の特徴でもあります。そうやってできた家には、手仕事の技やぬくもりが宿ります。家をつくった人が見える、感じられる家であるというのがもうひとつの特徴です。そのようにして人のこころがこもったものに囲まれて生活していると、人生が変わるように思えませんか。

 

昔ながらの家には「すきま風が多い」「空調がないから冬寒い」「今の生活にはなじまないよね」というイメージがあります。もっと早く安く、大量につくれるシステムをつくることで「手仕事ばかり多くて効率的でない」家づくりを乗り越えようとする経済の効率化の要請もありました。「古い道理」は古いもの、乗り越えられるものとして、忘れられようとしていったのです。

 

記事を全部読むと反省せざるを得ません。

最後、私うるうるしてました。

 

昔から続くものっていうのは長いながい知恵と工夫の結晶でもあるわけですよね。和建築は日本の風土に合うようにできている。だから私は、ヨーロッパの家やインテリアが大好きなんですけど、やっぱり日本にいて日本に似合うのは、和建築だなぁと思うんです。

 

変わっていくのは仕方がないことだし、私たちは世界や環境の変化に応じて、変わるべきだと思います。でも、昔の学びを常に振り返って、それを踏まえたうえで、どうあるべきなのか、どうするべきなのか、積極的に選択していきたいですね。

 

見る・つくる ”サツキとメイの家”

愛知県出身なのに恥ずかしながらサツキとメイの家にはまだ行けていません。今度帰省したら行きます。

「愛知県に行くんだけどどこいったらいい?」って言われると結構いつも困るんですけど、ここは観光スポットにもいいですね。今度聞かれたら勧めようかな。デートでも、家族で行ってもよさそうです。

 

愛・地球博記念公園 モリコロパーク

サツキとメイの家

当日券も先着順で売ってるみたいです。大人個人510円。

 

『サツキとメイの家のつくり方』という本の中では、100点以上の写真とともに、建築に携わった人々のインタビューを読むことができます。プロジェクトが進むごとに変化していった設計図や、当時の時代背景、建築様式、家の各箇所(瓦、土壁、タイルや風呂釜など)に施された職人技の裏話などもじっくり紹介しています。

 

サツキとメイの家のような家がすぐ建てられない場合は、とりあえずジオラマで溜飲を下げるのも手かと思います。

 

”サツキとメイの家”を改めて見て、建て増しで古い和建築に洋館くっつけるっていうのも、悪くないなぁと思うようになりました。

建て増したてましで、違う雰囲気のものがつなげてあるって、ごちゃごちゃした感じしますけど、きちんとどんな風になるかイメージしてつくれば、つながりも違和感ないようにできるのかもしれません。

 

家族のつながり方、ご近所とのつながり方、自然とのつながり方、家事や生活のしやすさ、お家には、いろいろな「ありたい姿」が込められるものなんですね。

これからも色んなお家を見て、勉強していきたいです。

 

それでは今日はこの辺で。

チュース!

 

↓こちらの記事もどうぞ↓

 

SPONSORED LINK