すみよしの手帖

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ドイツでフリーランスを始めるための手続きの概観(ビザ、保険、税金番号)

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こんにちは、よしのです。

今日は、ドイツでフリーランスになるにあたってしたことを書きます。

フリーランスとして働くためには、そのためのビザが必要です。そして税務署への申請書類の提出が必要です。

 

私が自分で調べていて結構困ったことは、全体の概観や見通しを立てるための情報が少なかったことです。何をどういう順番でやるのか、どれくらいの時間がかかるのか分からなければ、どれだけお金をとっとかないといけないかも分からないので、見通しは大切です。

 

バイエルンに住む私の場合は、以下のような手続きを取りました。

 

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1. 情報収集

ネット・ブログ

まずはネットやブログで情報を集めました。私が参考にしたのは以下のようなサイトです。ドイツ語のサイトもままありますが、意味が分からない場合はGoogle翻訳などにかければ概要はつかめかるかと思います。

ビザ関連

ビザの種類ごとに申請に必要な書類が、最寄りの外国人局(Ausländerbehörde)のホームページに載っているはずです。ミュンヘンの場合は、上記1つ目のErlaubnis für eine selbständige Erwerbstätigkeit für Staatsangehörige aus Drittstaatenの箇所を参照。必要書類自体はどこの街でもそんなに違わないのではと思います。

起業関連

3つ目は女性起業家向け無料Eラーニングです。

税金番号関連

ビザを取ったら税務署に税金番号の交付を申請する必要があります。請求書は税金番号を受け取ってから発行できます。

補助金関連

起業家向けの補助金というのがあります。私は失業登録も失業手当申請もしていなかったので不適格でした。

 

専門家に相談

手続きの順序や誰に何を申請したら良いか等、よく分からず、ドイツの認定フィナンシャルアドバイザーである山片重嘉さんにもご相談しました。

山片さんのページはこちら↓

dj-finanz.de

私は手続き自体は自分でやりましたが、分からないことがあれば専門家の方に相談したり、お力を借りる道もあります。健康保険の相談などにも乗ってくださいます。

 

無料セミナーに出席

MEBというミュンヘン市と商工会議所(IHK)が組織する起業家支援団体があります。

起業家やフリーランスを始める人向けの無料セミナーをやっているのをネットで見つけて申し込みました。

セミナー資料はこんな感じ

以下のページから申し込みできます。 

起業やフリーランスに興味のある人が集まってくるし、講師に直接質問もできるのでおすすめです。

 

このセミナーで、部屋に置いてあった起業家向けの手続解説冊子を持って帰って、読みました。オンラインでも入手できます。

必要なことは大体書いてありますので一通り目を通すことをおすすめします。私は取り出しやすい所に置いておいて、たまに確認しています。

 

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2. 市役所・外国人局でビザの種類の相談と取得手続き

フリーランスビザを1から取ろうと思う場合、通常ビザ取得に必要な書類に加え、履歴書(過去の学歴や雇用を証明できるものを含む)やビジネスプラン(ビジネスアイデア、基本情報、市況、競争、3か年財務計画等)が必要になります。上記ビザ関連のリンクをご参照。

提出するビジネスプランには決まったフォームはありません。また、ドイツ語以外の書類は公認翻訳家の訳が必要ということになっていますが英語の書類になっていれば、窓口に相談する価値はあるかと思います。

ビザの種類で窓口が異なります。小さい町は分かりませんが、ミュンヘンの場合、学生は学生の窓口、難民は難民の窓口、出向者などの国際的な労働力として来る場合、それ用の窓口があり、フリーランスビザを取る人は国際労働力窓口(Service-Center für internationale Fachkräfte)に行けばいいはずです。配偶者や子供など家族は、ビザを取る本人と同じ窓口だと思います。

ビザ手続きは何か月前もから予約が必要と言われたりしますが、朝早く行って並べば予約はいらない場合も。

 

ちなみに私のビザは配偶者ビザです。

配偶者ビザは配偶者がドイツ人でなくても、ドイツの雇用契約を持っていれば取れます。どこの組織でも働けるし、起業することもでき、ビザ取得時のビジネスプラン等の審査がありません。配偶者のビザが切れたら自分のビザも切れます。申請は、少なくとも初回は配偶者と同行しなければなりません。

もともと求職者ビザを持っていて、フリーランスとして仕事するにあたりそれを切り替える必要があったのですが、少し前に結婚したので配偶者ビザにしようかフリーランスビザにしようか、自分の状況からしてどういうビザが取得可能で合理的か、外国人局の人に相談しました。

役所の人の対応や知識量はあたる人によって全く違いますが、私が相談した人は知識豊富で親切に相談に乗ってくれました。

 

3. 健康保険の決定と申し込み

健康保険は公的健康保険とプライベート健康保険があり、どちらが長期的に見てお得かはその人の状況によって違うようです。

私のつたない理解によれば、

  • プライベートは手厚い、年齢によって金額が上がる、病気になると入れなくなるかも。
  • 公的健康保険はカバー内容は広くない、掛け金は収入に応じる、家族は無料で入れる。

 

問題は、ここでプライベート健康保険に一度入ると公的健康保険に入りなおすのが非常に難しいらしいということです。

私はフリーランスを始めたところで収入の見通しがはっきりしないことや、将来家族が増えるかもしれないことを考えて、公的保険を選びました。家族がすでに公的保険に加入している場合、月の収入が435ユーロを超えたり、週の勤務時間が20時間を超えたりしなければ、家族も無料で加入ができます。年間にして収入がどうなるか、見通しがつきにくいと報告したところ、半年後にまた報告してくださいと言われました。

 

数か月して、公的保険から収入状況等の報告要求があり、フリーランスとして加入し、自分で掛け金を払い出しました。

フリーランスの基本的な健康保険料は、現在月400ユーロを超えるため、収入上限を少しだけ超えるような場合は、時間的にみて働かない方がマシ、というケースは往々にしてあると思います。上限を超えないように調整できる方は、しばらくそうするという手もありますね。

収入が少ない場合は、掛け金を下げる処置がありますが、審査が大変厳しく、パートナーがある程度稼いでいたり、貯金があったりすると、安くなりません。

失業登録をして、起業助成金をもらっている人は、ここでも優遇されて、初期は少ない掛け金で済みます。

収入報告は適時行わないと、めっちゃ稼いでることにされて最大限の掛け金(月800ユーロ近く)を払うよう言われるので、注意が必要です。

後述の年金保険の欄も参照してください。アーティストの年金保険、KSKに入る場合、KSKが健康保険を半額持ってくれることになっているので、こちらの手続きを早目に進めることが重要です。

 

4. 税務署で税金番号の申請

請求書の発行には税金番号が必要です。ビザが取れたらこの税金番号申請の手続きをします。

ドイツの税務署にはオンラインポータルのElsterというのがあって、そこから確定申告をしたりこの税金番号の申請書を出したりできます。

 

しかし、私の場合、ネットで申請して2ヶ月経っても何も連絡が来ませんでした。ので結局税務署窓口に相談に行きました。その後、2週間くらいで税金番号の書類が郵送されて来ました。最初から窓口に行って手続きした方が、早く進んだのではないかという気がします。

 

税金番号の申請書は「Fragebogen zur steuerlichen Erfassung」というやつです。

良くない例だと思いますが、私は自分で調べて適当に書きました。そうしたらやっぱりちょこちょこ勘違いしている箇所があり、所得税の前払い通知が来てその金額を見てから間違いに気づいたので、窓口に行って直してもらいました。

こういうことを避けるためには窓口の人や税理士さんに予め相談して分からないところを明確にしながら書くのがいいと思います。小規模事業主としての取り扱い、帳簿のつけ方、ドイツ以外の国に請求書を切るための番号などについて、誤った記入をするとかなり面倒なことになる可能性があります。

 

税金番号申請にはビジネス開始日を書きますが1ヶ月前まで遡って書けます。

 

5. 公的年金保険の加入申請

開業から3ヶ月以内に年金保険に連絡が必要です。

公的年金保険の金額は旧東ドイツと西ドイツで多少異なります。私が調べたときは旧西ドイツの掛け金が、556,33ユーロ。独立してから3年の間は掛け金の半額を払うことができるようです。確定申告などが済んで収入を証明できる書類がある場合は、収入に応じて料率で払うことも可能です。

 

インターンをする際に年金番号は交付されていましたが、今までドイツの年金は払っていなかったので、フリーランスを始めたことをメールで年金保険に連絡しました。

その後、業務内容等に関する書類を提出するように言われた後、アーティストの年金保険KSK(Künstlersozialkasse)に申請手続きをするように言われました。KSKは年金保険だけでなく、健康保険や介護保険もカバーしています。

 

KSKの審査は、独創性のある仕事内容かどうか、というのがポイントで、翻訳家なら事務翻訳が多い場合は、加入できないケースも多々あるようです。また、審査書類を見る限り、ドイツ国内の顧客がいることもポイントになりそうです。

ドイツではよくあることですが、書類を送ってから返事が来るまで約1か月(休暇シーズンを挟むともっと)はざら、何度もやりとりがあるので、KSKの手続きを始めてから加入してもよいという返事が来るまでに、半年ほどかかりました。一般の年金保険手続きを含めたら1年以上。

その間、家族保険を抜けてからの健康保険料等をずっと全額自分で払い続けなければならず、走り出しのフリーランサーには、大変きついです。

KSKに入れれば、勤め人同様、KSKが健康保険料を半分程払ってくれるので、これからフリーランスになる予定で、KSKに入るかもという方は、一刻も早くこの手続きを始めることをお勧めします。フリーランスを始めてから3年はBerufsanfängerとして料率が安くなる特典もあります。

KSKの加入は加入要件がそろっていれば申請日にさかのぼって適用されます。審査中待っていた間の掛け金も、加入の許可が下りたら遡及して請求されます。自主的に加入していた健康保険の保険料は払い戻しされるはずですが、払い戻し前にKSKに掛け金をまとめて払わなければいけなくなるケースもありますので、困らないようにある程度は貯金しておくことをおすすめします。

 

6. 公的失業保険の加入申請

公的失業保険は、雇用庁が管轄しています。

こちらも加入する場合、開業から3か月以内に申請が必要です。この書類を記入して、役所に持っていきます。週に15時間以上働いていること、過去2年間のうち1年以上保険料を支払い?していることなどの要件があるようで、私は審査してもらいましたが、加入できませんでした。プライベートで入ることを検討します。

失業保険も初年度は掛け金の半額を払うことが認められているようです。保険適用の場合の給付金は最終学歴によって異なります。

 

フリーランスは業種によりますが各種保険の加入が義務でない場合が多いようです(健康保険はビザの必須要件です)。

保険によっては、1度入ると5年抜けられないとか、1度抜けると再加入できないなどの決まりがあるので加入する前によく検討することをおすすめします。

 

7. 障害年金の加入の検討

ドイツで障害年金の受給対象となるのは、法定年金を5年以上払っている場合です。

予期せぬ事態が発生して働けなくなった時のために、少なくともまったく収入がなくなるということのないようにしておきたいので、私はプライベートでBerufsunfähigkeitsversicherung(職業不能年金)という保険に加入しました。こちらは障害年金のようなもので、何らかの理由で働けなくなった場合に予め定めた金額を月々支払ってくれる保険です。


  

ざっとこんな感じでした。 

状況が違う場合の確認や最新情報の確認等は、ご自身でよろしくお願いします。

それではビスダン。

 

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