去年の夏にフィンランドに行ったのですが、そこでアルヴァ・アアルトさんというデザイナーのお宅を拝見して、とても勉強になったので、その解説と、フィンランドについて思うことを書きます。
ヘルシンキを旅行するにあたっては萩原 健太郎さんの『北欧デザイン 旅案内』が大変参考になりました。
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フィンランドってどんな国
この通り、フィンランドはロシアに隣接していて、かなり北のほうにある国です。
「北欧」っていうのはどこのことなんだ?ということでググってみましたが、Wikipedia曰く、“北ヨーロッパのなかで、文化・歴史的な共通点でくくられた地域”であり、“ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドに、バルト三国、ブリテン諸島、アイスランドを含む”のだそうです。
バルト三国はエストニア・ラトビア・リトアニアです。
わたしのイメージでは北欧ってノルウェー、スウェーデン、フィンランド+デンマークくらいだったのですが、イギリスも含まれるってことですね。ふ~ん!
でも「北欧理事会」なる組織にはイギリス・アイルランドは入っていないようです。
“言語・民族的には、フィンランドを除き、北ゲルマン語を話す北ゲルマン系民族である。”“唯一、フィンランドの多数民族はウラル系のスオミ人である。スオミ人の固有の文化はゲルマン民族とは大きく違い、隣国ロシア国境地帯のカレリア人やフィンランド湾対岸のエストニア人と共通点が多い。”だそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%AC%A7
やっぱりフィンランドは北欧の中でもちょっと変わってるみたいですね。
地理的にも、西や南とは海を挟んだ箇所が多いですよね。それでとなりはロシアだから、ロシアの影響が強そう。
ヴァイキングの歴史を含め、海に囲まれていることとか、暗くて寒い時期が長いことは、フィンランドの文化や風習に大きく結びついていると思います。
当然、芸術やインテリアにもこういった背景が影響しますよね。
フィンランドといえば、ムーミン!ですが、ムーミンのあの薄ぐら~い雰囲気も、フィンランドならではだなぁと思うのです。
白夜と極夜
太陽が沈まない「白夜」は有名ですね。夏は日が長いんですね。反対に冬は「極夜」という現象になるそうで、これはずっと暗い時期なわけです。
フィンランドの極夜は1月ごろで、太陽がでないといっても逆に微かな光を結構感じられるようになるみたいです。真っ暗闇、というわけではないよう。
フィンランドに住んでいるAoiさんの「スオミの旦那と一生一笑」というブログに、極夜のつらさが4コマで描かれていたのでご紹介。
ドイツでも、夏は日が長くて冬は日が短いから、それが人々の生活態度に大きく影響していると思います。
冬もクリスマスマーケットとかグリューワイン(あったかいワイン)とかで明るく乗り切ろうって感じするし、逆に夏は22時前とかまで明るいから、いつまでも外カフェやレストランにいたりして、太陽の光を浴びれるだけ浴びとこうって感じ。
北欧家具がカラフルで明るいパターンなのは、暗い冬を明るい雰囲気の室内で過ごすためだと聞きますよね。
フィンランド発のインテリア・小物
マリメッコ
日本でも大人気、フィンランドのアパレルブランド。もともとファブリックのプリント会社から始まっています。デザイナーのマイヤ・イソラがつくったウニッコという柄がとても有名ですね。
フィンランド市内にある有名な本屋さん、アルヴァ・アアルトが建築したアカデミア書店では店員さんがみんなマリメッコのロングセラー、「ヨカポイカシャツ」を着てました。
ヨカポイカシャツ
http://www.marimekko.jp/the-brand/marimekko-story
アルテック
後にご紹介する建築家・デザイナーのアルヴァ・アアルトさんが妻のアイノ・アアルトさんらと作った家具の会社。
http://www.artek.fi/index.html
Artekは「Art&Technology」から来ているそうです。
スツール60という椅子が有名。1933年に発表されて80年以上たっていますが、今でもいたるところで使われています。
積み重ねが可能。どうやら椅子の足が、木でできているのに曲がっているところが革新的だったようです。
http://www.sempre.jp/brand/artek-chair/
イッタラとアラビア
イッタラは日本でも知っている方が多いと思いますが、ガラス工場から始まった会社で、タンブラーや花瓶などが有名。会社の遍歴はいろいろ複雑なようです。
アラビアは1873年に始まったフィンランドの陶器ブランドで、キッチンウェア、テーブルウェアなどをつくっています。1990年に、イッタラが社名を変える前のHackmanの傘下に入りました。
フィンランドにあるアラビア工場にはアラビア・イッタラのファクトリーショップがあって、カイ・フランク、アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルトといったデザイナーの作品が購入できます。
https://www.scope.ne.jp/iittala/
うちでも、イッタラの「エッセンス」や「ティーマ」、「アイノ・アアルト」などを使っています。特に工業デザイナーのアルフレッド・ハベリさんがデザインしたエッセンスシリーズのワイングラスは、シンプルなのに姿形としての美しさがあり、脚(ステム)部分などしっかりと安定したつくりで持ちやすく、使いやすいです。
フィンランド市内のセカンドハンドショップなどに行けば、50年前のアンティーク食器もたくさん置いてますよ!
ヨハンナ・グリクセン
フィンランドのテキスタイルブランド。わたしはフィンランドに行って初めて名前を知ったのですが、とてもかわいいのでご紹介。
(http://www.connect-d.com/category/984.html, 2016.3.29)
鞄やポーチ、ハンカチなども作っています。フィンランド中心部にあるアルテックのお店で取り扱いしていました。
2つ購入。大き目のポーチはクラッチバッグ的に使っています。もう1つはおみやげに。
とても気に入っています!
しっかりした生地で、長く使えそう。
小物
Verso Designの白樺かご
白樺でできたかごは、フィンランドに古くから伝わるものです。歴史博物館に行ったとき何百年も前の白樺でできたバスケットや、スリッパなんかが置いてありました。
なかでもVerso Designの白樺かごはつくりが本当にしっかりしていて美しい。ずっと使えそうです。わたしも1個ゲットしました!こうして、旅先でゲットした小物が家に増えていくと思い入れのあるものに囲まれて暮らせて楽しいんです。
てづくり木製雑貨
フィンランドのお土産屋さんへ行くと、木製の小物がたくさん置いてあります。マグネット、ブローチ、バターナイフなんかも。ラップランドの白樺でできているようです。あたたかみがあってとてもいいんですよね。
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アアルト邸におじゃまします
アルヴァ・アアルトという人
アルヴァ・アアルトさんは1898年~1976年を生きた世界的な建築家・都市計画家・デザイナーです。ユーロ導入前まではフィンランド紙幣にもお顔が載っていたそうです。国が誇る人物なんですね。
アルヴァ・アアルト(右)と1人目の妻、アイノ・アアルト(左)
http://fika10.com/Finland/trip_fi_11.html
J-P Kärnä, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=25513
アルヴァ・アアルトさんが設計したヘルシンキ工科大学。どことなくアアルトさんの事務所の庭に似ています。
アカデミア書店もアルヴァ・アアルトの建築で、2階には「カフェ・アアルト」があります。
アルテックでも書いたとおり、家具の会社を1人目の妻と建てています。
スツール60以外にもソファーとかトローリーとかランプとかいろいろデザインしていて、アアルト邸には自身がデザインした家具がたくさん置いてありました。
http://www.artek.fi/products/armchairs/7
妻 アイノ・アアルト
アイノ・アアルトはアルヴァ・アアルトの1人目の妻です。アイノさんも、デザイナーでした。
1番有名な作品は、その名のとおり「アイノ・アアルト」というイッタラから出ているグラス。1936年にミラノ・トリエンナーレで金賞を受賞した作品だそうです。
透明感あふれるデザインで飲み物もスッキリ感じること請け合い。
筆不精のアルヴァが、アイノに送ったとされる手紙が「北欧フィーカ」のページで紹介されています。
愛しい、愛しい、小さなアイノ。この世で私たちの家族ほどすばらしいものはないと思う。私たちのあいだには大げさなこともなければ、もろさも全くない。それが私には嬉しい。万事が自然で明快なのは、まるでこの世でいちばんすばらしい建築のようだ。君のおかげだ
涙でちゃいますね。2人はお互いを芸術家として高めあって暮らしていたんだろうと思います。
自宅のデザインや設計においても、アイノさんのアイデアがたくさん詰め込まれています。
アイノさんはアルテックの社長に就任して経営に敏腕をみせましたが、54歳の若さで亡くなってしまいます。
妻 エリッサ・アアルト
エリッサさんはアルヴァ・アアルトの2人目の妻。
彼女もデザイナーで、代表的な作品はH55というファブリックのデザイン。
http://www.scandinavia-design.fr/h55-fabric-aalto-artek_en.html
アルヴァさんとアアルト邸に住んでいましたが、アルヴァさんが亡くなってからしばらくは、エリッサさんが1人で住んでいたみたいです。
アアルト邸
アルヴァさんとアイノさんが共同で設計しました。
アアルト邸の詳細は次に書きたいと思います。
そちらも書きたいことがたくさんあるので。
それではビスダン!
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