こんにちは、よしのです。
「ドイツ MBA」でGoogle検索するとこのブログがトップに出るようなので、MBAについてちょろちょろ追記していこうかなと思います。
私も「MBAってなんだ?どうなんだ?」って調べていたころは、色々な方のブログを参考にさせていただきました。一番印象に残っているのはDrivemodeの古賀洋吉さんのこの記事です。面白いからMBAに興味のある方は是非読んでほしい。
この記事もどなたかの参考になると嬉しいです。
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MBAとは
Master of Business Administrationの略。会社経営に役立つこと(財務・会計、マーケティング、戦略、生産管理、交渉技術、統計、人事管理、その他いろいろ)を勉強する学校です。日本語では経営学修士と訳されますが、修士の資格はもらえる学校ともらえない学校があります。
MBAに行ってよかったこと
ずばり、MBAに行って個人的によかったなと思うことをあげます。
1. 国に対する先入観や偏見が減る
MBAは基本的にグローバル経営について学ぶ場所なので、世界中から学生が来ます。ランキング上位の学校ほど多国籍だと思います。そういった環境で過ごせるということがMBAの大きな「売り」なのです。
私のクラスの場合は、50人強で23か国から来ています。これまでもドイツの隣国の人と一緒に仕事したりする機会はありましたが、南アメリカやポーランドより東の東欧、南アジアや東南アジア等の直接の知り合い、というのはほとんどいませんでした。
直接の知り合いがいないと、どんな生活をしているのかイメージできず、なんだかすごい危ない思想を持っているんじゃないか、とか、前時代的な生き方をしてるんじゃないかとか、勝手なイメージをつくり上げてしまっていました。
身近な例でいえば、中韓に対する日本のメディアの偏向報道はすごいですよね。偏向報道と言うと怒られるかもしれませんが、報道する内容の選び方、記事の表題のつけ方など、読み手・聞き手にあらかじめ定められた考えを植え付けるようなものばかりに思います。そんな環境で育って、直接的に何かされたわけでなくても、街で中国語や韓国語を聞くと何となく警戒してしまうようなところが、正直昔はありました。
けれど、実際に中国人や韓国人の友達ができたら、お互いの文化の共通点を身近に感じる瞬間がたくさんありました。アジアで古くから影響を受け合った国だから、気の合う部分がたくさんあるんです。そうした体験を通じて初めて、自分でそれぞれの国を曇りなく見られるようになったと思います。
もちろん、私が直接知っている「その人」は、「その国」の国民全体の、何千万、何億分の1なわけですが、それでも、サンプル0と1以上の隔たりはとても大きいと感じます。
2. 上下関係に縛られなくなる
前述の内容に似ていますが、クラスメイトの年齢層も、学部で専攻した内容やその後の職業経験も、まったくバラバラなので、結構年上の人もいるんです。
私のクラスの場合は下は26歳、上は39歳と一回りを超える差があります。
でも、クラスメイトに上下関係はありませんから、年齢に関係なく、言いたいことが言えて、言った内容だけが評価される環境なんです。
私はクラスで1人だけの日本人なので、他にも年の違う日本人のクラスメイトがいたらちょっと違ったのかもしれません。日系企業で明確な上下関係で働いていた自分には、年齢に関わりなく言いたいことが言える、言うべきことが言える環境というのはとても心地よいものでした。たぶん自分にはそういう環境が向いているんだと思います。
もちろん日本語でも丁寧に言うべきことを言うということは可能であり、訓練すべきことなのですが、日本語自体にビルトインされた上下関係を敬う思想が、仕事においてはまま障害になるような気がしています。
自分が発言するときだけでなく、人の発言を聞くときも年上だから信じこんだり、年下だから見くびったりということはなくなりました。
3. 自分は自分、と思えるようになる
クラスの皆がそれぞれに全く違う人生を歩んできていて、性格も違うので、自分と同じような人、というのがいません。自分が自分であるだけで、他の人とは全く違います。違うということが価値があることであって、そこに学びがあります。
そのような環境に身をおいて、自分は自分でいいのだ、と思えるようになりました。背伸びをする必要もないし、目立とうとする必要もないし、皆違って当然で、その違いの中から、他の人に役に立ち得る視点やスキルを提供するということがチームへの貢献になります。
4. 身近に感じる国が増える
これも1.と似ていますが、行ったことのない、これまで知り合いのいなかった国が、クラスメイトを通して「ちょっと知っている国」になると、その人への興味をカギにして、その国への興味がわいてきます。その人を身近に感じれば、その国もより身近に感じるようになります。
例えば、チリ、ペルー、コロンビア、ブラジルといった南アメリカの国の友達ができて、南アメリカに前よりもずっと「行ってみたい!」と思うようになりました。北アメリカだけど、メキシコも。メキシコや南アメリカにはそれこそ怖い、危ないというイメージを持っていましたが、実際に生まれ育った人と話すと、当たり前だけど怖いだけじゃなくて、より言語とか文化とか、その国を広さ・深さのあるものとして認識できるようになります。
チリから来たクラスメイトは、いつも私のことを「僕の知っている一番クールな日本人」と形容してくれるのですが、彼にとって私は唯一の日本人の友達なわけです。私もチリ人は彼しか知りませんが「一番クールなチリ人」と思っています(笑)。そんな出会いを通して、スペイン語を勉強したいなとか、南アメリカの自然を見てみたいと思うようになり、実際に勉強したり旅行したりというきっかけができます。クラスの子たちからしたら、逆に私と知り合って、より日本に興味を持ってくれる、ということもあると思います。
5. 新しい体験ができる
私が通っている学校は1年制なのですが、授業に加えて、前半は地域貢献活動、後半は企業コンサルプロジェクトまたは起業プロジェクトをやることになっています(最終学期は授業がなくなりプロジェクトのみ)。
これについては以前、以下の記事でも触れました。
正直、まじめにボランティアした経験の少ない私にとっては、地域貢献活動は非常に新鮮でした。何もないところからコンセプトを決めて、パートナーを探してアタックして、お金を集めて、行動に移す。流れ自体は、ビジネスプランニングと似ています。
収益が少なくても、社会的に影響のあることができれば価値があるし、地道な行動がプロジェクトの成功につながるのだという学びにもなりました。
企業コンサルプロジェクトでは、ドイツ本社の企業を中心に数あるグローバル企業の1つでプロジェクトに関わることができます。関わりたいプロジェクトへチームでピッチすることもいい経験になりましたし、遂行するプロジェクトが決まったら、企業のオフィスを訪問して、短い期間ではあるものの、どんな人達がどんな職場風土で働いているのか学ぶことができてとても興味深いです。会社によって扱いは異なりますが、インターンみたいな感じですね。場合によってはその後の就職のチャンスにつながったりもします。
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6. 世界のトレンドを知ることができる
国によって流行りって全然違いますよね。地理的・文化的に隔たりがあるから。中学生の間で流行っているものが社会人の間で流行っているものと違うのと同じです。
クラスの子たちは結構トレンドに敏感なので、使っているアプリや見ているサイトを教えてもらうのが勉強になります。
ご存じの方は日本でも普通に使っていると思いますが、SpotifyやNetflixは優勢です。あと教えてもらって助かったのはGood Notesという書き込み可能な書類管理アプリや、Swiftkeyというスマートフォン(タブレット)用のキーボードアプリ、今や日本でも結構普及したと思われる、Duolingoという言語学習アプリ。アンケートを取るならSurveyMonkeyやGoogle Forms、飲み会の出席を取るならDoodleが便利です。こういうのは日本人とだけ話してると当時は全然会話に出てきませんでしたが、学校では皆当然のように使っていました。
過去記事で触れたUpworkやFiverrなんかも、日本では日本発のサービスであるCrowdWorksやLancersなんかが優勢のようですが、英語に難がなければプールの大きさや質が違うので知っておいて損はないと思います。
バイラルになっている記事や写真なんかがWhatsappで回ってきたり、世界で何か出来事があれば、その国出身の人の声や考えを聞いて学ぶこともできます。
7. 自分にとって大切なものに気付く
私の場合は自費留学で、留学する前に前職を辞めました。
無収入ですから当然働いていたころよりも財布の紐は締まります。今思い返すと、働いていたころの金銭感覚はちょっとおかしかったと思います。なぜ、20ユーロもするお玉やフライ返しを買っていたのか。1.5ユーロのもののほうが、フライパンを傷つけず、機能的にも全く遜色ないにも関わらず!
マーケティングでは、低・中・高という価格帯があると、中を選ぶ人が多いといいます。皆自分を中流階級くらい、と思いたいんですね。でも財布の紐が締まって最安値の商品ばかりしばらく買っていたら、生活すること自体はそんなにお金のかかることではないんだということに(今さら)気づきました。
料理したり、掃除したり、こまめな手入れを生活に加えることで、華美でなくても楽しい日々が送れるんだなぁという気づきは、仕事を辞めたからこそ実感できたことだと思っています。これは、人生をどうしたいか、次の仕事をどうしたいかという考えにも影響しています。
8. 勉強しなければと思う
最後に学校で勉強したのは(語学学校を除けば)10年くらい前です。そして、大学に入ってからは苦手な科目を無理やり取る・取らされるということがほとんどなかったので、数字が苦手な私は高校卒業後、就職してからもほとんど数字に触らず生きてきました。
それが、MBAに来て、なんとな~く、頑張ればできるんじゃないかなと思っていた数字への心持ちが、財務・会計や統計といった授業を受けながらへし折られる状況、何度かありましたね…。
でも、それはいいことなんです。できない、やばい、と焦りますから。焦ったらやろうとしますからね。そこから少しずつでもできるようになるはずです。
苦手なことをできるようになることに時間を割くんではなくて、得意なことを伸ばすべし、みたいな教えをたまに見ますが、両方やればいいと思います。もちろんすべてのことをマスターできるなんて思いませんが、できないことをできるようになるのって、楽しいですもんね。私は単純に好きです。
あとは、ビジネスワールドで管理職ラダーを上ることを希望する場合には、ある程度知っているべきことの範囲は広くなります。担当が何であれ、財務会計の基礎が分からない取締役、英語が使えない取締役は、まずい。
9. 日本への見方が変わる
MBAに入る前もドイツにしばらく住んでいましたが、日系企業で働いていたし、周り中日本人だったし、今ほど日本を客観的に見れていなかったと思います。
MBAで、日本を全然知らない人や、日本に興味を持っている人、授業やケーススタディで出てくる日系企業の実績や情報を通じて、日本が外国からどう評価されているのか、よくも悪くも知る機会がありました。
自分で自分のことがなかなか分からないのと同じで、日本についても、誰かの目を通してちょっと離れたところから見てみないと、客観的な感覚ではなかなか見られません。私なんかは嫌なところばかり目についていましたので、ビジネスや文化が皆に評価されているのをみて、個人的には前より日本に誇りを持てるようになりました。
世界中のどこの国とも違った文化や歴史は本当に魅力的です。
世界中の数ある国の一つとして、日本に興味が沸くようになりました。
日本人として生まれたのは偶然ですが、よかったと思います。
10. 考える時間ができる
個人的には、MBAは人生の第二の夏休みだと思っています(第一の夏休みは学部生のとき)。もちろんやることはいっぱいありますが、仕事のように追われている感じはないです。休みもちょこちょこあるし。今年に入ってブログをはじめたりもしましたし。
この1年で色々な違う考えに触れて、その種は、ひょんなきっかけでいずれ芽になったりするのでしょう。もう卒業間近ですが、MBAに行ってよかったことというのは、多分10年経ったら増えたり変わったりしてるんじゃないかなと思います。
MBAは国や学校によって教え方が違うのはもちろん、年ごとにカリキュラムも世間での受け止められ方も大きく変わっていくと思います。このブログに書いてある内容はあくまで現時点の私発信の情報ということでご容赦ください。
それでは、ビスダン。
↓ ドイツMBAに興味のある方は↓
伊藤智央さんのブログ、「元コンサルタントな歴史家」にてドイツMBA体験記を書かせていただきました。可能な限り詳しく書きましたので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
↓↓↓当ブログのこちらの記事もどうぞ↓↓↓
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