すみよしの手帖

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ドイツMBA生の現地就活事情 ~ドイツ面接いろは~

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こんにちは、よしのです。

 

絶賛ドイツで就職活動中です。今日はドイツで面接を受ける際の注意点を書きたいと思います。

日本では新卒採用された後、転職活動をしたことがないので、比較はなかなかできませんが、ドイツならではっていう転職活動時の慣習などがあると思うので、ドイツでの転職を考えている人の参考になれば幸いです。

 

面接に呼ばれる前の、求人応募手続きに関しては以前書いたこちらの記事もご参照ください。

 

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採用の流れと応募時の注意点

多くの会社で採用の流れは次のとおりです。

 

書類選考→電話面接→直接面接

 

直接面接の回数は会社やポジションによります。1回で終わるケースもあれば、2回目はCレベル(CEO、COO、CFOとか)との面談に呼ばれるケース、1日がかりで別の人と5回面接したり、コンサル会社とかだとアセスメントセンターと言ってケーススタディなどをやることもあります。

 

応募書類を送って、「受け取りました。選考中です。結果が出次第連絡します。」みたいな自動応答が返ってきても、その後何か月もなしのつぶてというケースはザラです。

1つのポジションに100人を超える応募があっても、直接面接に呼ばれるのは3人、多くて5人だと思います。どうせ一人しか採用できないですから、書類選考でしっかり振るいにかけることが採用側にとっては重要。逆に言えば、応募側は書類でしっかりとマッチングをアピールしないといけないということです。

書類選考に受かり、面接に呼ばれるということが第1の関門ここを通ったら、ある程度の適性は認められているということなので自信を持っていいと思います。

 

応募時のポイント1:直接メールを送付

各種求人広告サイトから定形的な簡略フォームを使って即応募することが可能なケースがありますが、採用担当が情報を受け取るときはEメールになっていることが多いです。見栄え・改行が変になったり、送り主の名前などが求人サイトの名前になったりと、受け手の身になって考えるとあまり印象がよくないだろうことが容易に想像できます。

ほとんどの求人広告(Stellenanzeige、Stellenausschreibung)には企業の応募先、または担当者のEメールアドレスが載っているので、そこに自分のEメールアドレスから直接書類を送付することをおすすめします。

 

また、メールやカバーレターを送るときは、できる限り「人事部 ご担当者様」宛てではなく、「Frau/Herrn〇〇〇」と具体的な名前を書きましょう。

 

応募時のポイント2:会社独自の採用ポータルへの登録

求人に応募したことが企業に確認されると、その会社独自の人事ポータルに別途登録を求められることがあります。大企業ほどこういったポータルを持っており、会社が大きくなるほどオリジナル化されていて複雑になっています。

私が受けた会社の中には、過去の職歴で関わったスキル・ノウハウの種類を、機能ごとに全部プルダウン方式で記録しなければならない会社もありました。

カバーレターもCVも資格証明書もメールで送付済み、それを見ればわかる情報なのに、二度手間だな…と正直思いますが、面倒でもしっかりと丁寧にポータルに入れ直しましょう

これも相手の身になってみるとわかることですが、社内で使っている独自のシステムがある場合、そのプロセスの流れに乗らないと、手続きが回らない・始まらないということはよくあるものです。

求人情報は専用Eメールアドレスに溜まっていきますが、それを誰がどういう頻度でチェックしているかは全くわかりません。

でも社内ポータルで該当情報を登録してボタンを一つ押せば、応募元(配属先)部署や各関係者全員に、一気にメールが配信されるシステムになっているかもしれません。そうならその方が、絶対話はスムーズに運びます。

また、できるだけ早くこういった対応をすることで、企業の文化やシステムを積極的に学び、順応する姿勢を見せることにもつながります。

 

私が先日応募した企業は、応募してから電話面接まで2日、翌週には直接面接、その翌週には結果が出ました。残念ながら不合格でしたが、とても手早いスムーズな手続きでしっかりした企業なんだな、という印象を受けました。

これだけ早く連絡が来たのは、経歴が応募内容にマッチしていたというのもありますが、独自のポータル上で即、情報を更新・登録したことも関係あると思っています。

 

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面接の準備

典型的な質問

面接に呼ばれることが決まったら、当然Q&Aを準備しますよね。

そこで、どのような質問が考えられるか?ですが、パッと思い浮かぶのは自己紹介、志望動機、キャリアプラン、最後に応募者からする質問…。転職時に当然出てくるのは希望給与、勤務開始可能時期。この辺は基本的には日本の就職活動と変わらないであろうと思います。

 

ドイツの就職活動で必ずと言っていいほど聞かれるのは、「なぜ他の候補者ではなく、あなたを採るべきか」という質問です。

  • „Warum sollten wir Sie einstellen?” なぜあなたを採用すべきだと思いますか?
  • „Was können Sie für uns tun, was andere nicht können?“ あなたが我々のためにできることで、他の人にできないことはなんですか?
  • „Warum denken Sie, die richtige Besetzung für diese Stelle zu sein?“ なぜあなたがこのポジションに最適だと思いますか?

…といった形で。

志望動機と被る部分もありますが、「なぜこの会社に入りたいか」、「なぜこのポジションに就きたいか」、「なぜそのポジションに私が最適か」という3つは異なる質問です。別々にしっかり答えを用意しておくのが賢明です。

 

あと、若干ドイツ特有かなと思うのは、趣味や余暇の使い方について。

ドイツ語の先生に言わせると、趣味に関する質問はドイツの面接では一般的のようです。そこから、個人としての人となり・キャラをはかろうということですね。

ここでは趣味がイメージさせる人となりを相手に与えるだけでなく、それを通して培ってきたスキルがどう仕事に役立つか、ということまで言えるとバッチグーです。

たとえば、弓道だったら集中力、とか絵を描くだったら観察力、とか。

 

学校での成績もドイツでは結構重要視されます。圧迫質問の例として、「なんでこんなに成績が悪いんですか?」とか聞かれるケースも。

 

典型的な質問のリストは「Vorstellungsgespräch(面接)」でグーグル検索するとたくさん出てきます。

私は以下のページを参考にしました(ドイツ語)。

 

Monster

Absolventa

Karrierebibel

 

個人的に一番参考になったのはMonsterの「Die 10 häufigsten Fragen im Vorstellungsgespräch(面接で頻出の10の質問)」です。

各質問を訊くことで採用側が何を知りたいのか、どう対策したらよいかが書いてあります。

10個しかないから質問の見出しだけ簡単にここに書いておきます(注:訳は私の意訳です)。

  1. あなた自身について説明してください。
  2. なぜ当社に応募したのですか?
  3. なぜ現在の会社を退職したいのですか?
  4. 当社について何を知っていますか?
  5. 3・5・10年後に到達していたい目標を教えてください。
  6. なぜあなたを採るべきだと思いますか?
  7. あなたの強みと弱みを教えてください。
  8. どのようなときに他人に苛立ちますか、そしてどのようにそれを切り抜けますか。
  9. 希望の給与を教えてください。
  10. 余暇はどのように過ごしますか?

 

Karrierebibelではこの10倍の100の質問リストを載せていますが、

http://karrierebibel.de/wp-content/uploads/2015/11/100-Vorstellungsgespr%C3%A4chfragen.pdf

重複しているものも多く、「この質問が出されることは考えにくい(SNSの使い方とか)」と思うものも多いです。

ドイツ人の友達やドイツ語の先生にはこちらのリストを勧められたので、目を通しておくといいかもしれません。

 

追記:こちらの英語ページも参考になるかと思います。

themuse

 

kununuというサイトで、現職の従業員の会社に対する満足度や、過去に応募者が質問された内容がアップされているケースがあります。こちらもチェックしておきましょう。

 

引き続き、私が特に質疑応答の際に重要だと思うポイントを挙げます。

 

面接時のポイント1:自己紹介で自らのストーリーを売る

面接時、自己紹介から始まることは多いので、ここをスラスラ言えるようにしとくことはほんと大事です。ここで相手におお、と思わせれば後も和やかに進みます。

 

カバーレターを暗唱するのではなく、これまでの経歴から求人している職務内容に関連する重要なポイントをかいつまんで(時間にして2~3分)、かつ各要所の決断が前後とどうつながっているのか論理的に、というところが大切です。自分の人生をストーリー化して売るのです。

自分も過去採用に関わったことがありますが、これまでの経歴につながりがなく、行き当たりばったりに見えてしまう候補者は、買われません。これはその後のキャリアプランに関する質問につながります。

 

面接時のポイント2:キャリアプランとポジションのマッチング

「3・5・10年後どうなっていたいか」という質問に対する回答が、応募している求人の職務内容で達成可能なのか、きちんとマッチしているか?

自己紹介から、この先のキャリアプランまでがストーリーとしてつながっていたら、大きく説得力が増しますね。

それらの目標達成が会社にとってもプラスになるものなら、この人に任せたらビジョンをもって前向きに取り組んでくれそう、一緒に成長できそうだ、ということになります。

自己紹介でこれまでの選択が行き当たりばったりに見えてしまったら、この先も保証はないな…ってなるし、これまでのストーリーが耳ざわりよくても、それが今後のビジョンと繋がってみえないようだと、「本当にあなたはこれでいいの?」となってしまいます。

ここで説得力ある回答ができるかどうかは、ものすごく重要だと思います。

 

面接時のポイント3:希望給与額は高くても低くてもダメ

自分を安売りしすぎるのはよくありませんが、高く売りすぎてしまっても、即「脈ナシ」扱いされてしまいます。安すぎってのは自信のなさと経済感覚のなさの表れだし、高すぎっていうのは欲深さと市場調査不足の表れとみてとれます。

 

最近ではPayscaleや、

Glassdoor(https://www.glassdoor.de/index.htm)で、特定企業や特定都市の経験年数等に応じた同様のポジションの給与をベンチマークすることが可能ですので、市場調査は決して怠らないようにしましょう。

希望給与に関してはベンチマークが一番説得力のある理由付けだと思います。

 

ドイツの給与レベルに関して知っておかなければならないのは、産業別組合に参加している企業の場合、そこと結んでいる労働協約(Tarif)の中で、基本的な職務内容と職務経歴に見合った等級に応じて、基礎給与が定められているということです。

例えばIG Metal(金属&電気系の産別組合)であればこちらのサイトから等級別・州毎の基礎給与リストを入手できます。

https://www.igmetall.de/metall-und-elektro-monatsentgelte-907.htm

これらの情報もベンチマークするうえでは重要です。

 

ご参考:

賃金制度(ドイツ:2005年2月)|フォーカス|労働政策研究・研修機構(JILPT)

 

ベンチマークの結果の中でも、上位のほうの金額を提示する場合には、なぜ自分がそれだけの価値があるか、説明できるようにしておきましょう。

他の候補者にはないスキル、経験、知識の説明や、これを用いて費用を相殺できるほど会社に得があることを示したいところですね。

 

給与額を提示する際は幅を持った枠を提示することが賢明です。下限と上限の額差は3000~5000 EURくらい。相手に若干の選択肢を与えつつ、自分としても対象の的を大きくすることで射程外になる可能性を低められます。

 

面接時のポイント4:最後の質問で理解力と期待が透けて見える

お決まりの最後の質問、「あなたから何か質問はありますか?」に対し、どのような質問を投げかけるかで、いろいろなことが見透かされてしまいます。

まず、就活サイトで口々に言われるのは、質問しないのは絶対にNGということ。

絶対くる質問ですから、準備してきてない=やる気がない、とみられるということなのでしょう…。逆に言えば、ここでおっと思わせるような質問をすれば、すごく印象をよくすることもできるんですね。

 

ちょっと調べたらすぐわかるようなことを質問するのは逆効果です。会社について興味がない、勉強していないことの表れになってしまいます。また、職場の雰囲気みたいな「悪い」と言いようがない、相手を困らせてしまうような質問も微妙です。

 

私は、過去の面接では、「今後の仕事内容で、特に自分が興味のある特定の分野(XYZ)に関わる可能性はあるか」などの質問をしました。自分としてはやる気を見せたつもりなのですが、なんだかこれが逆効果だったかなぁとも思ったり。

質問するということは、質問という形を通して、私の期待なども相手に伝わるんですよね。相手が、それに応えられないと思ったら、「私たち、欲しいものが違うね…」ってなっちゃう可能性もあります。

 

面接時のポイント5:下調べ頑張ろう

質疑応答の一問一答だけでなく、応答に厚みを持たせるために業界や企業の下調べも時間の許す限りしっかり行いましょう。

 

  • 業界全体の動向
  • 企業の基本情報(資本金、従業員数、創業年、本社所在地、グローバル展開、特徴)
  • 企業の財務状況
  • 受けるのが本社でない場合、対象の支社情報
  • グループ全体および支社の製品 とかとか

 

下調べには努力が見えるので相手を納得させやすいです。

 

その他当日の注意点

服装

私の場合、派手すぎないように、でも日本のリクルートスーツみたいのはカッチコチの服装は避けるようにしています。ちょっとお客さんと会う用事のある日に着るようなピシッと目のパンツとブラウスなどを着るようにします。

靴やカバンは汚れ、ほつれのないものを。

 

時間

前日のうちに交通手段を確認し、30分から1時間前には会社の前について近所でコーヒー飲みながらQ&Aを最終チェックする余裕が欲しいですね。

トラブル起きると30分とかあっという間に過ぎてしますからね。

遅刻はゲーム・オーバーですね。

 

手荷物

日時確約時のメール、会社の地図や行き方、余程いらないと思うけど、CVとカバーレターを人数分刷っていったり。あと証明書も一通り持っていきます。

電話は急な必要のときのためしっかり充電していきましょう。

 

受付での対応

就活サイトによれば、受付に候補者の印象を確認する会社もあるとか。

当然ですが面接官以外の人に無礼な態度をとることのないよう、しっかりと丁寧な受け答えを心がけましょう。

 

面接官

私が過去に受けた面接では、求人部署の責任者と担当者の他、人事が同席しました。

人事の人は、典型的な面接質問のほか、若干ストレス耐性系の質問をしてくることが多いのかなと思いますが、予定調和とも言えます。

求人部署は能力適性や部内にうまく溶けこめるかを見ていると思います。当然、採用決定権はこちらの方が大きいでしょうが、話すときはその場にいる全員を満遍なく見ることを心がけます。

 

 

当座はこんなところでしょうか。

長くなりましたが、読んでくださりありがとうございます。

言及済みの記事の他、過去記事だとこの辺りを自分でたまに見返しています。よろしければご参照くださいませ~。


それでは、今日はこの辺で。

アレスグーテ!

 

その後↓

↓こちらもそうぞ↓

 

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