すみよしの手帖

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娘がドイツパスポートを取得した話

こんにちは、よしのです。

先月、娘にドイツのパスポートが発行されたので、備忘録的に取得した時の話を書いておこうと思います。

 

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子供がドイツ国籍を付与されるには

ドイツは2000年以降、出生地主義を採用しています。外国籍の両親の元ドイツで生まれた子供は、少なくとも両親の一方が8年以上ドイツに居住し、子供の出生時点で無期限滞在ビザを持っていれば、両親の国籍に加え、ドイツ国籍が自動的に付与されます。

 

Seit dem Jahre 2000 gilt für in Deutschland geborene Kinder ausländischer Eltern das Geburtsortprinzip (ius soli). Dazu muss mindestens ein Elternteil seit acht Jahren rechtmäßig seinen gewöhnlichen Aufenthalt in Deutschland haben und zum Zeitpunkt der Geburt ein unbefristetes Aufenthaltsrecht besitzen. Das heißt, dass diese Kinder mit ihrer Geburt in Deutschland neben der Staatsangehörigkeit ihrer Eltern die deutsche Staatsangehörigkeit erwerben.

BMI - Optionspflicht - Erwerb der deutschen Staats­angehörigkeit durch Geburt in Deutschland

 

うちは2019年に息子が生まれ、2022年に娘が生まれたのですが、2019年時点ではまだ親である私たちが永住許可を持っていなかったので、息子は日本国籍のみ保持しています。その後夫・私ともにドイツの永住許可を取得し、それから生まれた娘のみ家族の中でドイツ国籍と日本国籍の両方を保持しています。

 

子供が生まれたときに役所から来た手紙

娘が生まれた後には、市長さんから誕生を祝うカードが届きました。そして娘がドイツ国籍を保有することを記載した文書(Beurkundung)が届きました。

その後、外国人局から娘のビザを申請するようにという文書が来ました。娘はドイツ国籍を保有しているので、Aufenthaltstitel(滞在許可)の取得は不要です。生まれた時に届いた文書を外国人局に提出して、その旨確認を得ました。

市長さんからの誕生祝いカード

 

子供のドイツパスポートを取得する?

娘が生まれてからはすぐ日本に出生届を出し、戸籍謄本に娘が載っていることを確認したら速やかに日本のパスポートを申請しました。しかし、ドイツのパスポートを絶対持っていないといけないという認識は私の中でなかったので、しばらくは取得をペンディングしている状態でした。

 

パスポートコントロールで注意される

娘が1歳になる直前、家族で日本へ一時帰国しました。その時は、再入国のときに滞在許可がないことについて何か言われたら上記の文書を出そうと思いコピーを持って行きました。しかしパスポートコントロールでは、娘の日本のパスポートにドイツ入国スタンプを押さなければならないので、90日以内(旅行ビザの有効期限内)にドイツのパスポートを取得してくださいと言われました。

 

子供のドイツパスポートの申請

通常のパスポートと子供用のパスポート(Kinderreisepass)

ドイツにはKinderreisepassという子供用のパスポートがあります。12歳以下の子供は通常のパスポートとこの子供用のパスポートどちらかを選択できます。

Kinderreisepassの通常のパスポートと異なる主な特徴は以下の通りです。

  • 有効期間は1年
  • 申請額が安い
  • 基本的に即日発行される
  • 電子チップが入っていない

 

通常のパスポートの有効期間は24歳以下では最長6年ですが、Kinderreisepassの有効期間は1年で、有効期間内に毎年更新が必要です。一旦切れたら更新手続きはできず、再発行が必要になります。

私が手続きした時点では、通常のパスポートの申請額は24歳以下の場合37,5ユーロでしたが、Kinderreisepassの場合は13ユーロ(更新は6ユーロ)でした。通常のパスポートが有効な6年の間、Kinderreisepassを毎年更新すると13+6×5=43ユーロかかります。同じ年数で金銭的に比較すると通常パスポートの方がお得ということになります。

通常のパスポートは発行まで3週間〜6週間かかりますが、Kinderreisepassは基本的に即日発行されます。急ぎでパスポートが必要な場合は助かりますね。通常のパスポートにも急ぎで発行する手続きがありますが、別途手数料が上乗せされます。

通常のパスポートには指紋情報などが登録されるチップが入っていますが、指紋の登録は6歳から義務となります。ESTAの必要な米国など、事前に電子的に申請手続きが必要な国では、Kinderreisepassでの入国は認められていないので注意が必要です。また、多くの国ではパスポートの残有効期間が6ヶ月以上であることを求められることを考えると、Kinderreisepassは結構使いにくいなという印象です。

 

必要書類

手続きに必要な書類はどちらのパスポートでも基本的に変わりません。

  • 子供の出生証明書
  • 子供の証明写真
  • 両親のパスポート

(その他家族の状況により別途必要書類がある場合あり)

 

手続きの際はお住まいの市のパスポート発行手続きのページを再度確認してください。

 

参考:

BMI - Kinderreisepass

heidelberg.de - Verfahrensbeschreibung Kinderreisepass erstmalig beantragen

 

通常パスポートを選んだ理由

娘のドイツパスポートはKinderreisepassではなく、通常のパスポートを申請しました。費用面で考えると6年間有効な通常のパスポートの方がお得、かつ毎年証明写真を撮影して手続きするのが煩雑なためです。Kinderreisepassは1年更新なので、写真が本人の姿とかけ離れる心配はありませんが、通常のパスポートで写真と本人が同一人物かどうかわからないくらいかけ離れてしまっている場合、パスポートは無効となります。この点はリスクですが、個人的にはパスポートコントロールで子供にそんな指摘するかな?というのがちょっと想像ができませんでしたので通常のパスポートにしました。

 

申請手続き

コロナ以降、市役所での手続きには事前予約が必要なことが多いです。なので、市役所のパスポート担当の予約を取って約束の時間に出向きました。

パスポート申請と受け取りには必ず本人がいないといけないので注意が必要です。

手続きが無事完了し、4週間ほどして「パスポートが発行されました」とスマホにSMSが届きました。再度市役所の枠を予約して受け取りに行きます。受け取りは非常にスムーズでした。

 

二重国籍の扱い

さて、娘は日本国籍とドイツ国籍、2つの国籍を保持している状態です。現在の日本の法律では、二重国籍の人は20才までにどちらかの国籍を選択しなければならないとされています。

法務省:国籍の選択について

 

20才までにいずれかの国籍を選択しない場合、法務大臣が国籍選択の催告を行うことができるとなっていますが、現状実務的にはこのような手続きは取られていないようです。一方日本国籍を選択した場合でも、それにより外国の国籍を当然喪失するとは限らず、その後の外国国籍の離脱は努力義務となっています。

詳しくは山片シゲさんのnoteをご覧ください。

note.com

 

未来の選択肢

国籍があるということはどういうことを意味するのでしょうか。

国籍があることにより、その国の国民が受ける様々な権利や義務が発生します。国籍があるということにより心理的にもその国への帰属意識や責任意識が高まるかもしれません。

課せられる義務やその国を取り巻く状況が認めがたいものである場合、その国から離脱するという考えに至るかもしれません。または与えられる権利がとても優れたものであったり、適用されるシステムや国の政治の方向性が自分の考えと合ったりする場合、その国の国籍を積極的に選択するということになるかもしれません。

自分にとってより良い方を選ぶことができる、そういった選択肢があるということは、もしかしたら人生を変えうることなのではないかという気がします。

 

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