こんにちは、よしのです。
「ドイツでにんぷなう」をここまで読んでくださった方々、ありがとうございます。逆子が発覚して帝王切開となった私の妊娠・出産記、待ったなしで始まった入院中の子育てに触れて、とりあえずは一段落としたいと思います。
にんぷなうシリーズの関連記事はこちらからどうぞ。
- 入院日程
- 1日目(出産当日):感動の初対面、からの
- 2日目:おっぱい吸わずに低血糖
- 3日目:地獄の授乳指導と舌小帯プチ手術
- 4日目:さよなら直母信仰
- 5日目(退院日):おうちへ帰ろう
- 費用:ドイツの公的保険よありがとう
- ドイツでの出産、辛かったこと・良かったこと
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入院日程
帝王切開の次の日から数えて3泊、全体で4泊5日でした。自然分娩したお母さんたちも3泊で退院っぽかったです。
1日目(出産当日):感動の初対面、からの
分娩時の記録は、前回の記事「ドイツでにんぷなう24 出産その1 〜帝王切開〜」をご参照ください。
産後、3時間おきの授乳がいきなり始まります。産むことの心配ばかりしていて、産んだ後のことに関する知識があまりなかった気がします。GVK(出産準備コース)でも授乳について触れたはずなのですが、あまり詳しくやらなかったのか多くは記憶に残っていませんでした。
そこで早速問題発生。
母乳が出ない!!
注射器でスポイトして集めた初乳、1ml。
子供はおっぱいへの吸い付きが悪く、あまり飲まずに寝ちゃうし、しばらくは体重が減ると聞いていたので、「こんなものかな〜」と悠長に構えていました。
突如この世に出現した子供を夫婦で眺めて不思議な気持ちになりながら、おっぱいあげたりおしめを替えたりであっという間に夜に。夜21時過ぎくらいに、夫は帰宅。
痛み止め(イブプロフェンかプラセタモル)は毎日飲んでましたが、後陣痛や傷の痛みは思ったほど酷くはなく、初日の夜には看護師さん④(この番号は前回からの通し番号です)のサポートのもと、立ってトイレに行って尿道管を外しました。
その看護師さんは、「私も帝王切開だったけどあなたは強い、よくやってる」と言ってくれました。
トイレで用を足すのが怖い!!最初はなかなか出てきませんでした…。
帝王切開後の腹は見るも無残でした。
全然小さくなってないし、段々腹だし、黒ずみや妊娠線はそのままだし。
ひもと血のついた切開部にはプラスターがペタペタと貼ってあります。
夜0時〜5時の間に毎日子供のコントロールがあり、体重、ビリルビン、体温(+血糖値)を測ります。初日の夜は看護師さんが来て、子供だけ連れて行ってくれました。
部屋は2人部屋でしたが、この日は1人で使っていたので子供が泣いたりしても気兼ねしなくてよく、とても楽でした。
(空いていれば家族部屋を、と事前にお願いしていましたが、開けてみたら2人部屋でした。)
2日目:おっぱい吸わずに低血糖
朝は毎日、太腿に血栓防止の注射をされます。
朝ごはんはビュッフェ形式でパン、チーズ、ハム、フルーツやシリアルを勝手にとって食べるという感じなのですが、2日目はまだ歩けないので看護師さんが持ってきてくれました。
ビュッフェの朝ごはん一例
朝ごはんと一緒にヨード、葉酸、痛み止めが支給されます。
ちなみに夜ごはんは朝ごはんと似たりよったりで、温かいご飯は昼のみです。
ある日の昼ごはん
朝コントロールに来た看護師さん⑤が、子供の血糖値が低いと言って血相を変え、バタバタとミルクを飲ませます。子供はそのままKinderarzt(小児科)に連れて行かれました。私は「低血糖って大変なことなの?」みたいな感じであまり理解しておらず、まだ自分の疲れもありとりあえずここぞとばかりに寝ました(おい)。
その後、子供が1日3回あるコントロールで4回連続血糖値をパスしたら退院OKと言われました。血糖値の測定は足に器具で針をブスッと刺して血を取ります。子供はまだ小さいのに1日に何回も刺されてとてもかわいそうでした…。
2日目にはむかつく看護師さん⑥に遭遇。
看護してもらっている立場で文句言ってごめんなさい、でも本当に酷かったんです!!
- ノックもせずに入室。
- 「授乳時の抱きかたは?」(知らんがな、決まっとらんがな)→(私の抱き方を見て)「それじゃダメなのよ」。
- 子供に乳をくわえさせ、チューブで口の端からミルクを入れる(ことでおっぱいから母乳が出ることを子供に気づかせる)方法があるらしいのだが、なんの説明もなくそれを始める。めっちゃ冷たい手で、子供の頭を押さえつけて私の乳も掴む。私が混乱していると、「ドイツ語本当にわかるの?」と小馬鹿にされる。
- 子供が乳を吸わないことを「Faul(怠慢)」「普通じゃない」と表現。
- 結局人工乳首で勝手にミルクをあげ出して、「これはとても悪いことなのよ」「私があげたら飲んでる」と言う。
まじで底意地の悪い魔女みたいな超むかつく人でした。
その後、病院に来た夫に号泣しながらこのナースの文句を言う。ホルモンの影響で多感になっていたのかもしれません。でも初産したところの人にさ、まだ子育て始めたばかりで不安も沢山あって産んだ後の疲れとかもあるのにさ、子供が怠慢で普通じゃないとかさ、言う?信じられない。
子供のおっぱいへの吸い付きが悪いので、2日目からは搾乳機を使って搾乳したものを注射器であげていました。足りない部分はミルクと混合で。
私はすっかり直母(おっぱいから直接母乳を吸わせること)に後ろ向き。
「ここまでしてやることなわけ?飲めて育ってくれれば直母じゃなくていいし!」と思っていました。
夜22時〜23時くらいに同室の隣人がやってきました。
同じく帝王切開で出産した、ブラジル人夫妻。
産後は隙間時間を使ってちょっとずつしか寝られないのですが、お互いの子供は別のタイミングで泣くので相手が寝ているときに自分の子供が泣き出すと結構気を使います。
でも良い家族だったので、旦那さんが来たら挨拶しあったり時間のあるときにちょっと話したりできて良かったです。
2日目の夜には、ナースステーションに自分で歩いて子供を連れて行きました。
子供はBlähungen(お腹にガスが溜まること)なのか、泣くわなくわ…。
ナースステーションにいた看護師さんが搾乳の間、子供を預かってくれると言うので、喜んで預けたら、次見に行ったときに預かってる子供の数がめっちゃ増えてて、うつ伏せ寝で放置されてました。基本的に1才まではSIDS(乳幼児突然死症候群)の危険性があるのでうつ伏せ寝はさせないというのがよく言われることなのです。Blähungenにはうつ伏せ寝がいいと言っていたけど、預けてもちゃんと見てくれてるわけじゃないんだ…と思うなど。
3日目:地獄の授乳指導と舌小帯プチ手術
血中ヘモグロビンが低かったためか、サプリに鉄が追加されます。鉄を飲むと便が硬くなるため、食物繊維のまずいジュースの粉も支給されます。
まずいジュース。全部は飲めまじ
注射器であげていた母乳は、1ml→5ml→10ml…と段々量が増えていきました。
この病院は授乳指導で有名な病院だったのですが、むかつく看護師さん⑥がステーションでレポートをあげたらしく、ベテランぽい看護師さん⑦がやってきてさらなる授乳指導を受けました。(今考えるとなんでそんな病院にしたんだろ…とか思うけど、出産前は「やっぱり母乳が一番いいんだよね、きっと!!」くらいに思っていました。)
看護師3人くらいに取り囲まれ、子供は頭をぐいぐいとおっぱいに押さえつけられます。もちろん子供は泣くばかりで飲むようにはなりません。
この後、舌小帯が大きすぎるせいで乳をくわえにくいんじゃないかといって息子のプチ手術を勧められます。小さなうちにやったほうが子供の負担も少ないとのこと。
私は「こんなに小さくてかわいいのに…手術だなんて…私の息子はこのままで最高だよ…」と後ろ向き。でも夫は「ぜひやろう」みたいな感じで、ナースステーションに連れて行かれている間に気がついたら手術が終わっていました(がーん)。
この日対応してくれたフィリピン出身という看護師さん⑧も、KY加減がきつかったです。
目的を説明せずに自分がやりたいことだけ言うので、「なんのために?」と毎回聞き返していました。
英語の方が得意と言っていましたが、ドイツ語は私から見てもほとんど意思疎通が図れないレベル。病院だから医療用語が多く、聞き間違いとかあってはならないと思うのですが、絶対聞き取れてないし、もちろんほとんど言いたいことも言えていません。別の若手看護師さん⑨の後ろをずっとついて回っていました。案の定、その2人は私と同室の隣人患者さん家族と薬のことで揉めだし、すぐに謝ればいいのに自分たちの非を認めようとせず、火に油を注いでいました。
私も移民だし、来たばかりの人が言語できなくても普段は何とも思いませんが、医療従事者としてそれはまずいだろ、と流石に思いました。まずは言語学校にしっかり通って、コミュニケーション取れるようになってから働いた方が良いでしょう。看護師さんに関しては人手不足だからいきなり現場に出されてしまう(出られてしまう)のかもしれません。
このように看護師さんのレベルは超ピンキリでした。
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4日目:さよなら直母信仰
舌小帯の手術の後、おっぱいの飲みかたが少し上手になったと夫が朝看護師さんに言ったら、なんか知らんけど後で見せてみろと言われました。ごくごく飲めるようになったわけではないし、また絶対授乳指導されるから私は超難色でした。
もはや特定の看護師さんしか信用できなくなっていた私たちは、ベテラン看護師さんに時間ができたら見てもらうはずだったのですが、彼女は時間がないからということでまた何も分かっていない看護師さんたちが来ました。意思疎通がうまく図れず、押し問答みたいになります。その後ベテラン看護師さんが来たけど、また子供が頭を押さえつけられてギャン泣きという展開になって、最後は結局人工乳首でごくごく飲んでました。
結論:直母信仰なんてぇ〜クソくらえ!
ドイツの出生届を出します。出生後3日以内に出すことになっています。2週間ほどで出生証明が出せるようになるらしい。
この日、Stillraumという授乳用の部屋の存在を初めて知る(遅いよ)。隣人を起こさずに落ち着いて搾乳・授乳できるし泣いてもすぐあやせるのでもっと早く知っておきたかったです。入院時に何も説明はありませんでした。ドイツの病院で出産される方は事前に確認しておくと良いかも。
5日目(退院日):おうちへ帰ろう
入院中に子供が受ける2回目の定期検診、U2を終え、オールOKで昼には無事帰宅できることに。わーい!!
この日かその前日に帝王切開の傷も婦人科の医師に診てもらい、簡単な問診がありました。
入院している部屋の近くには無料で写真を撮ってくれる写真館があったのですが、事前予約が必要でした。これについて知ったのも退院前日くらいで、それどころでない感じもあったので諦めました。余裕がある人はこういうサービスがあれば撮ってもらうととても良い思い出になると思います。
私たちは車がないので、夫が家から持ってきたベビーカーに新生児を乗せ、普通に地下鉄で帰宅。新生児を人がたくさんいる地下鉄なんかに乗せていいのだろうか…と思いながらも、家族3人で家に帰れる喜びを噛み締めていました。
帰りはこのままずっと散歩できるのでは?と思うくらい普通に歩けました。
帰宅後、早速夫がApotheke(薬局)へ行き搾乳機を借りてきてくれます。これがないと何も始まらない。助かった!!
費用:ドイツの公的保険よありがとう
記録を見る限り、入院費は特にかからなかったようです。外回転術で入院したときは1泊20 EURの自己負担がありましたが、分娩のときは公的保険が負担してくれたのだと思います。ありがとう、ドイツの公的健康保険!
ドイツでの出産、辛かったこと・良かったこと
日本で出産した経験がないので2国間の比較はできませんが、ドイツで出産して良かったなと思うのは、
- 公的保険でカバーされる範囲が広いこと(妊婦健診、紹介状のある精密検査や外回転術の費用、分娩・入院の費用、両親学級や産後のマグネシウムなどのサプリ、産褥体操などの費用も部分的にカバーされる)
- 分娩に関して選択肢が多いこと(無痛分娩は予定でなくても可、水中分娩などもできる施設が多い)
- 医療水準が高く、医師の施術に関してはあまり不安に感じなくてよいこと
一方、不満があったのは、
- 看護師のレベルにピンキリが激しく酷い人も多いこと(知識がない人、コミュニケーションが取れない人、患者に対する態度が失礼な人)
- 分娩医師とは分娩時以外ほぼコンタクトがないこと
などでしょうか。
まあ分娩医師とコンタクトを取る必要がないようになっているので困らないのですが、取り上げてくれるお医者さんがどんな人なのか知っておきたいという人もいるのではないかと思います。
別に辛くはありませんが、入院中の食事はかなり質素です。
欲を言えば超音波検査が保険適用されるのは妊娠中3回でしたが、もう少し保険適用が多いとうれしいなあと思います。
総じて、ドイツで妊娠・出産する人には、医療レベルにおける心配はあまりないものの、サービス面での期待値は下げておいた方が無難、とお伝えします。
病院の窓からの景色
以上をもちまして、シリーズ「ドイツでにんぷなう」は終了です!!ここまでお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございます。
他にも妊娠・出産や子育てについて書きたいテーマはありますが、今後はいつも通り雑多なネタも混ぜつつ、気が向いたテーマから順に書きたいと思います。
それでは、ビスダン!
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