こんにちは、よしのです。
ドイツでの出産は妊婦健診を受ける婦人科、お産をする分娩病院、主に産褥期のケアをしてくれるヘバメ(助産師)で役割分担があることは以前「ドイツでにんぷなう⑥ 婦人科探し 〜病院探しはjamedaが便利〜」の記事で書いたとおりです。
今日はドイツでの分娩病院選びの流れや、分娩前に分娩病院でお世話になったことなどについて書きたいと思います。
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里帰り出産する?しない?
ドイツで分娩病院を探す、という決断の前に、「(日本へ行って)里帰り出産するか否か?」という問いがあるかと思います。
医療行為で言語がよくわからないと心配なことが多いし、実家で出産を経験したお母さんのサポートがあれば心強いですよね。
でも私の場合、日本で出産することにすると仕事の関係で夫が立ち会うのが難しそうだ、と言うこと、できたら出産直後から2人3脚で子育てを始めたい、ドイツでは出産費用が基本的にかからないけど、日本の健康保険は抜けてしまっているし保険が効いても持ち出しがあるなどのことから、ドイツで出産しようとかなり初期から決めていました。
この記事はドイツでの出産を検討される方に向けて書いています。
分娩病院選びの全体的な流れ
おおまかな分娩病院選びの流れは以下のとおりです。
- 分娩病院の調査(説明会への参加や情報収集)
- 分娩病院に電話して予約登録の申し込み
- 婦人科から紹介状を取得
- 分娩病院に勤める医師やヘバメとの面談
- (必要なら追加面談・診断)
- 分娩
どんな分娩病院があるの?
まずは地域にどんな分娩病院があるのかを知ることから。
ネットでも調べられると思いますが、ミュンヘンに住む私の場合、婦人科で心拍確認ができて妊娠が確定したときにもらった冊子の中に、地域の病院と各病院の特色がまとめられていました。
『Eltern Wissen Klinikführer Geburt』という上から2冊目の冊子がそれ
これをみて、「無痛分娩対応してる病院がいいな〜」とか、「家や家族の職場からなるべく近い病院がいいな〜」とかの希望をもとに、大体の目星をつけます。
ちなみに分娩病院はほぼ大きな総合病院ですが、複雑な出産でなければ、ヘバメさんたちが運営する助産院や自宅で出産するという選択肢もあります。
分娩病院を比較する
分娩病院ごとに多くの場合Infoabend/Elternabendという説明会・イベントをやっています。月に1回とか2回とか開催されていて、パートナーと一緒に参加できるよう、大体平日の夕方からのことが多いです。通常、予約は不要です。
ミュンヘンにお住まいの方は例えば以下をご参照。
LMU(ミュンヘン大学の病院)
TU(ミュンヘン工科大学の病院)
Schwabing
Neuperlach
Infoabend(説明会)の内容
その病院に勤める医師やヘバメが、病院の特色や実績を説明してくれます。
内容は、
- 何週から予約可能か
- 分娩室の数
- PDA(無痛分娩)を希望する場合の流れや注意点
- 帝王切開率
- 医師・ヘバメ*の勤務体制
- ICU(集中治療室)の有無
- 個室の値段
などなど。
*ヘバメは、自宅に訪問して産褥期のお世話をしてくれるヘバメだけでなく、分娩病院で産まれる子供の取り上げをしているヘバメもいます。
加えて分娩の基本的な流れを説明してくれるところもあります(これは基本的に出産準備コースで聞く内容です)。説明の後は質疑応答。多くの場合、説明会の後は空いている分娩室(Kreißsaal)があれば分娩室の見学ができますので、どんな部屋で産むことになるのか雰囲気を確認できます。
分娩病院の調査開始時期
私は、12週過ぎくらいから各病院のInfoabendに顔を出していました。なんせ外国で産むのでわからないことが多いのと、計画魔なので。他の参加者はもう随分お腹の大きな人が多かったです。妊娠中期に入ったくらいに探し始めると良いかもしれません。病院によりますが、早いところは20週くらいから登録を受け付けています。
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分娩病院選びのポイント
病院選びに参考になりそうなのは、主に以下のような点でしょうか。
- スタッフの雰囲気
- 設備の新しさ・清潔さ
- 選択可能な分娩方式(自然分娩、無痛分娩、帝王切開、水中分娩、フリースタイル…)
- スタッフの勤務体制
- ICUや小児科の併設の有無
- その病院独自の強み
- 実際にその病院で産んだ先輩ママの感想
- ヘバメからの情報
- ネットの口コミ
私は、1か月くらいかけて上にあげた4つの病院を見学しました。
見学してパッと分かるのは、病院設備の新しさや清潔感のような見た目的なこと、あとはスタッフの雰囲気。笑いも交えてリラックスした雰囲気、生真面目で実直な雰囲気、ちょっと適当そう、など説明会では病院ごとにいろんな印象を受けました。説明会で登壇してくれる人も、産婦人科のトップの場合もあれば、医師とヘバメの場合もあります。
分娩方式に関しては、ドイツでは最近はフリースタイル分娩が多いのではないでしょうか。陣痛・分娩時の体勢は、四つん這いになったりバランスボールに寄りかかったり、希望すれば好きに選べると思います。また水中分娩は近年人気が出てきている様子で、ミュンヘンの大きな分娩病院の場合、水中分娩設備の整っているところが多く、私が分娩を予定している病院も分娩室2部屋に1つお風呂が併設されているようです。
病院によっては自然分娩にこだわりがあって可能な限り帝王切開はしない方針をとっていたり、逆子でも一定の条件を満たせば自然分娩が可能だったり、逆に帝王切開率の高かったりする病院などがあります。嘘か誠か、出産準備コースで聞いたのは、とある病院は医師の経膣分娩取り上げ経験が少なすぎて、その先生にあたると帝王切開になってしまうようなところもあるとか…。病院の分娩方針は予め比較したほうが良いですね。
ICUや小児科の有無は重要だと思います。緊急事態になったときにこれらがないと、離れた場所や別の病院に搬送されることになります。
病院によっては産後の授乳に力を入れていたり、WHO/ユニセフによって「子供にやさしい産院」と認められていたりという強みがあるなどの特色もありますので、参考にすると良いと思います。
一見、こぎれいでスタッフも親切そうだなと思うような病院でも先輩ママの感想を聞いて印象が変わったりすることもあります。例えば、人種によって産後宿泊する部屋を分けていたっぽいという噂を聞いたり。たまたまかもしれませんが、そこの病院は候補から外しました。
あとは自分のヘバメのコメントや、ネットの口コミも参考になるかなと思います。
分娩病院に予約登録する
InfoabendでいつからAnmeldung(予約登録)できるか説明があるはずなので、チェックします。病院によって予約開始週数が違います。
私の場合どうやってAnmeldungするのか、窓口へ行くのか電話するのか、先に病院と話をするのか婦人科に紹介状を書いてもらうのか、よく分からず、旅行とかも挟んでモタモタしていたら27週を過ぎてしまい、分娩病院にいざ電話したとき電話口で遅いと怒られました。
順序としては、
- 分娩病院を決める
- 電話でAnmeldungしたい旨伝えて面談日時を決める
- 婦人科にÜberweisungsschein(紹介状)を書いてもらう
- 分娩病院の医師・ヘバメと面談
という感じでした。
電話口でまくしたてられた経験から、早めの電話相談をおすすめします。
分娩病院での面談では、妊婦の基本情報の聞き取り、同意書の受け取り、破水や陣痛時の連絡先の説明、質疑応答などが行われます。特別な希望があればこのときに伝えます。
分娩当日以外に分娩病院でお世話になること
分娩病院って、陣痛・破水が起きたときに行って分娩するだけかと思っていましたが、意外に分娩以外にも色々お世話になる場所なのでそれについて書いておきたいと思います。
私の場合、これまで分娩病院で分娩以外に大きく2回お世話になりました。
1つ目は、私は過去にスノーボードで背中を圧迫骨折した経緯があり、PDA(無痛分娩)を希望していましたが、これは硬膜外麻酔といって背中からカテーテルを刺して行う麻酔であるため、問題なくできるかどうかを同病院の麻酔科の先生に診断してもらいました。
予め診断してOKが出ていないと、当日の分娩を担当する医師の判断になってしまうため、PDAが使えない可能性があるからです。
2つ目は、予定日1か月前を過ぎて胎児が逆子(骨盤位、Beckenendlage)であることが発覚し、分娩病院で外回転術(äußere Drehung/Wendung)を施してもらいました。逆子は出産時にへその緒が圧迫されて胎児が酸欠になったり、胎児の姿勢によっては出てくるのが非常に困難になり、体に後遺症が残ったりと自然分娩による危険性が高いので、基本的に帝王切開(Kaiserschnitt)になります。
外回転術というのは文字通り外から胎児の方向を回転させようとする術です。ドイツでは正産期を過ぎた37週以降に、へその緒が絡まったり胎児の心拍が低下したりしたときに備えて、いつでも帝王切開できる体制を整えた状態で行われます。外回転術についての詳しい話はまた別途書けたらなと思います。
説明会の後、実際に予約登録をして面談をしたり、追加診断をしたりする際に、医師やヘバメと会話するとより多くのことが分かります。こちらの話を親身に聞こうとしてくれようとしているか、スタッフの全体的な対応や好感度、従業員同士のコミュニケーションは円滑そうか、などなど。こうした印象も病院を決めるうえでは大切ですね。
以上、分娩病院に関する話でした。ドイツで出産される方の参考になれば幸いです。
ではビスダン!
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